オットが色気づいた話
先生「はい、次の方どうぞ」
私「失礼します」
先生「きょうはどうしましたか?」
私「はい、きょうは主人のことで相談にきました」
先生「ご主人?あのデブの?」
私「はい、あのデブの・・・って先生は主人のこと知らないですよね?」
先生「なんとなくわかります」
私(すげぇな)
先生「で、ご主人がどうしました?」
私「それがですね、急に色気づいたんですよ」
先生「色気づいた?なにがありましたか?」
私「このあいだ出かける用事があるのにお風呂に入ってて、まあそれはいいんですけど、えらい時間がかかるものですからこれはおかしいと思って見に行ったんですよ」
先生(無言でうなずく)
私「そしたら、なんと、脱毛してたんですよ!」
先生「脱毛?」
私「あ、正確には除毛ですね。私の除毛クリームを勝手に使って、うで毛とすね毛の処理をしてたんです」
先生(うで毛とすね毛の処理をしていたとカルテに書き込む)
私「で、スベスベになった腕と足を撫でて笑ってるんです」
先生「笑ってる・・・」
私「恐怖を感じました」
先生「これまであなたはご主人に除毛をうながしたことはあったのですか?」
私「いえ全然」
先生「だから色気づいたと思ったんですね?」
私「はい。だって急に変でしょう?そりゃ最近の若い子は脱毛してる子が多いって聞きますけど、おっさんですよ?おっさんが急に除毛します?」
先生「なにがあったのか聞きました?」
私「はい。なんかオネエちゃんがいるお店で脱毛の話になったみたいなんです。一緒に行った会社の男性陣は、おっさんばっかりだったからだと思うんですけど、年をとったらだんだん毛が薄くなってくるじゃないですか。まわりに比べて自分だけ毛が濃いと指摘されたみたいで」
先生「ご主人はその指摘を気にしたわけですね。結構繊細なところが?」
私「繊細?バカ言わないでください。毛よりもっと他のところを気にしろよって」
先生「そうですね。で、除毛後はどうしてました?」
私「除毛クリームがドラッグストアのどのコーナーにあるのか気にしてました。使い続けたらだんだん毛が薄くなるのか?なんて聞いてきました。あれは買う気満々ですね」
先生「あなたはそれがイヤなのですか?」
私「いえ、別にイヤなわけではありません。以前とある芸人さんがテレビで言ってたんですけど、家にご主人の毛が落ちるのが掃除の時にイヤだから腕と足の脱毛をしてもらったって。それを聞いてびっくりしたんです。でもなるほどなと思いました。毛がなかったら落ちませんもんね。それはいいかもしれません」
先生「では除毛自体には特に問題がないのですね」
私「そこは問題ないのですが、ただ急に除毛したのが気持ち悪いだけで。そうそう、その後はスベスベになった腕を見せてきて、触って触ってと言うんです。キモすぎません?」
先生「おそらくそんなスベスベな状態は子どものとき以来だから新鮮だったんでしょうね」
私「そうだと思います・・・あっ!わかった!今度オネエちゃんのいるお店に行った時に、同じように触って触ってっ言うつもりじゃないでしょうか?若い子と触れ合えるチャンスみたいな」
先生「それは・・・あるかもしれませんね。でも一歩間違えたらハラスメントになりますので気をつけないと」
私「訴えられたらお手上げですね」
先生「ご主人に言っておくといいでしょう」
(カルテに何かを書き込む・・・見えない)
「そうですね・・・とりあえずこれだけではまだなんとも。このまま様子を見ましょう」
私「やっぱりそうですよね。腕と足の除毛だけじゃまだわかんないですよね。じゃあ
次は何に注意してたらいいですか?」
先生「そうですね・・・ヒゲの脱毛をにおわせたら来てください」
私「ヒゲですね、注意しておきます。ありがとうございました」
先生「いえいえ、どうぞお大事に」